中期経営計画

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中期経営計画の策定で、何がどのように変わるのか。

中期経営計画の策定で、何がどのように変わるのか。

2016年、帝国ホテルのホームページに新たなコンテンツが追加された。「中期経営計画」だ。
グローバル化や人材の流動化といったビジネス環境の変化を受けて、従来通りの企業運営に安住せず、より戦略的に計画的に成長していかなければならないという、企業としての帝国ホテルの強い意志が表明されている。

「中期経営計画2016-2018」にはキャッチフレーズがつけられている。「〜信頼の絆を結び、ともに未来へ〜」。その策定のために社内を奔走し、その後の進捗をウォッチし、帝国ホテルの変化の兆しをまさにリアルタイムで感じている企画部・宮﨑に話を聞いた。

社内アンケートから見えてきたのは、どのセクションも「もっと良くなりたい」と考えていること。

社内アンケートから見えてきたのは、どのセクションも「もっと良くなりたい」と考えていること。

宮﨑(企画部) 宮﨑(企画部)

宮﨑の下に続々と集まってくる社内アンケートの回答は、最終的には厚さ数センチにもなるほどのボリュームになった。「日本の迎賓館としてのノウハウがしっかり継承できているか。」「ハード、ソフト、ヒューマンで改善すべき点はないか」「新商品開発のための予算・人材は不足していないか」「他の部門との連携はスムーズか」「会員のお客様の満足度はどうか」「生産性向上にむけて、もっとできることはないか」…。現状分析と取り組むべき課題の洗い出しを行うためのアンケートは、社内のすべてのセクションに展開され、各部門からはさまざまな意見が上がってきた。
「中期経営計画をまとめるに当たって、まず着手したのは社内の課題抽出でした。社長にヒアリングを行い、現場から詳細な生の声を吸い上げ、それぞれの部門の役員に確認を取る。やりとりは本当に何往復にもおよびましたが、大きな収穫となったのはやはり現場のリアルな声が聞こえてきたことです。ああ、そんな問題意識があったんだ。そこを改善すれば力が発揮できるんだ。と、改めて知ることも多かった。嬉しかったのは、どの声も前向きだったこと。『もっと良くなりたい』という想いがひしひしと伝わってきました」。上高地帝国ホテル、営業部、不動産事業部、事業開発部と複数の部署を渡り歩いてきた宮﨑だったが、もちろんすべてのセクションの実情を把握しているわけではなかった。企画部に在籍することになり、さまざまな部門と議論を行い、調整をしてきたが、このプロジェクトの担当となったことで見えてきたことも少なくはなかった。
そうして十分な時間をかけ、重点課題として掲げたのが「安全性の追求」「帝国ホテルブランドの向上」「顧客満足の追求」「イノベーションへの挑戦」という4つの柱だった。2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックなど、国際的なイベントが控える中、訪日外国人観光客が増加することを見越して、これまで培ってきたおもてなしのサービスはさらに強化しつつ、「その後」にも目を向けたところに、帝国ホテルの長期的な展望が見て取れる。「2020年の東京オリンピック・パラリンピックはひとつのピークになると思いますが、その後の市場がどう推移するかは不透明です。お客様の数だけでなく、労働力人口もシュリンクしていく可能性を視野に入れておく必要がある。中期経営計画は『2016-2018』の3カ年ですが、その先の飛躍に向けた土台になるよう設計しています」。

課題解決のために必要な予算や仕組み。心がけたのは、現場を「応援する」という姿勢。

課題解決のために必要な予算や仕組み。心がけたのは、現場を「応援する」という姿勢。

経営陣の意思決定をサポートする役目を担う企画部にとって、もっとも重要な業務とも言えるのが「予算策定」だ。中期経営計画は3カ年の経営戦略をまとめたものだが、当然、それを「絵に描いた餅」に終わらせないためには、それぞれのセクションが提出してきた課題とそれに対する「To Doリスト」を参照し、予算を割り当てることが肝要になる。「いろいろな課題に対して、各部署が提出してくれた改善策を見て、予算を割くべきものをしっかり選び出し、経営陣のコンセンサスを得るのが私たちの仕事です。ただ、心がけなければならないのは、徹底した現場目線なんです。費用対効果を冷静に見極めることも大切ですが、帝国ホテルをより良くしたいと思っている各部署を『応援する』という意識で臨みました」と宮﨑は話す。

中期経営計画とは、挑戦し続けることの意思表示。

中期経営計画とは、挑戦し続けることの意思表示。

3カ年計画の折り返し地点となる2017年現在、その進捗をつぶさに観察している宮﨑は期待と不安と、その両方を抱える日々だという。「少しずつ実を結びはじめているものもあれば、さらにテコ入れすべきこともありますね。定量的なことだけでなく、定性的な目標もありますので、その成果もきちんと評価しなければと思っています」。
すでに2016年には「ホテル・旅館」カテゴリーで初めて「エコマークアワード」の金賞を受賞、2017年には週刊ダイヤモンドのホテル満足度ランキングで1位を獲得するなど、着実に各部門での活動には進化が見られつつある。
宮﨑は語る。「数字としての目標は確かに重要ですが、その基盤としてわすれてはならいなのは、お客様はもちろんのこと、株主や従業員も含めたステークホルダーとの信用関係です。『〜信頼の絆を結び、ともに未来へ〜』というフレーズを用意したのもそうした意図があってのこと。そこをないがしろにしては、未来への飛躍もありません」。
中期経営計画に文章化されているものは、実は終わりのない課題ばかりだ。「安全性の追求」「帝国ホテルブランドの向上」「顧客満足の追求」などは、どこまで追求しても「さらにその上」があるだろう。これらは開業以来変わらぬ永遠のテーマであり、常にアップデートし続けるべく、中期経営計画の中でも取り組みが進められている。一方で、重点課題の4つ目には「イノベーションへの挑戦」が明記されている。「変化するビジネス環境にしっかり対応できるよう、生産性の向上など企業としての競争力を高める取り組みも必要だと思っています。より筋肉質で、利益を上げやすい体制を作ることもひとつのテーマです。言うまでもないことですが、中期経営計画は決して策定すること自体が目的なのではありません。挑戦を続けるということを内外に示し、ベクトルを合わせた上で皆で一歩ずつ前に進めていくことにこそ意義があるのだと思います」と宮﨑は断言した。


※所属部署は取材当時のものです。